研究実績の概要 |
Vps35a,b,d,e, Vps26a-f, Vps29発現株のうち、免疫沈降実験を行なっていなかったアイソタイプのHAタグ付き発現株を用いて、免疫沈降したサンプルのプロテオーム解析を行った。その結果、レトロマー複合体にはいくつかのまとまりがあることが明らかとなり、現在までに存在が予想されている2つのまとまりをレトロマーα、レトロマーβと名付けた。Vps35a,b, Vps26a-e, Vps29の発現抑制株を樹立し、細胞の膜分画をBluNaive-PAGEにより分離したのち、抗Vps26抗体で検出した。その結果、構成される複合体のサイズが変化することが明らかとなった。さらに、Vps35a,b遺伝子発現抑制により、エンドサイトーシス効率、貪食効率が減少した。Vps35bにおいては過剰発現株で、細胞内外のプロテアーゼの活性が高くなっていた。これらの結果から、Vps35aとVps35bはエンドサイトーシスと貪食に関与するが、Vps35bのみプロテアーゼ輸送に関与することが明らかとなった。これはそれぞれのアイソタイプが異なる働きを持つことを示しており、申請者の仮説をサポートする結果となった。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究の推進方策(800文字) 樹立したSNX3, Rab-GAP発現株の解析を行う。具体的には、局在観察、結合分子の同定からこれらによる病原性への関与を明らかにする。また、ライブイメージングを用いるために、GFP融合タンパク質発現株を作成しLive imagingを行う。さらに、SNX3とRab-GAPの遺伝子発現抑制株を樹立し、Vps26,29,35各アイソタイプの局在を観察する。これらの実験により、SNX3とRab-GAPがレトロマーを介してどのようなことに関わっているか、その機能が明らかとなる。
|