本研究はPCVワクチン導入後に沖縄県で増加した19A-ST320の増加原因を全ゲノム解析によって明らかにするための研究である。 19A-ST320クローンは多剤耐性クローンであり、PCV7導入後に世界的な流行を引き起こした。しかし日本本島ではこのクローンは流行せず、代わりに19A-ST3111が流行した。一方で沖縄県では日本で唯一19A-ST320の流行が検出されていた。そこで本研究ではこの流行原因を明らかにするため、過去の研究で沖縄県にて収集された19A-ST320株を中心に、51株の全ゲノム情報を取得し、海外で検出された同クローン株931株の全ゲノム情報と比較した。その結果、沖縄県には2000年以前に米国から同クローン株が流入してきていたことが示唆された。この研究結果は、肺炎球菌が保菌を通じて大陸間伝播し、地域流行を引き起こすまで拡散することが示唆している。
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