本研究は、気管切開術後/喉頭気管分離術後の者における、試験薬プロバイオティクスの経口投与による気管内分泌物への影響を観察することが目的である。同意取得/登録後に経口摂取が可能な者については試験薬を8週間内服し、4週間ごとに気管内分泌物・口腔内分泌物・糞便・血液を採取した。経口摂取を行わない者については、気管内分泌物・口腔内分泌物・糞便・血液をそれぞれ採取した。 経口摂取が可能な者のうち、気管切開術後の者は8名、喉頭気管分離術後の者は14名に対して試験薬の内服と、検体の採取をおこなった。全員が8週間、特に問題なく内服を行うことができた。研究機関の間に、新たに肺炎などを発症するものは認められなかった。経口摂取を行わない者のうち、気管切開術後の者は7名、喉頭気管分離術後の者は4名が参加した。検体の解析は2022年度(令和4年度)に実施する予定である。 プロバイオティクスの内服により、誤嚥性肺炎の予防効果が示唆されており、その効果が直接的に気管内分泌物へ影響しているのか、間接的に肺炎を予防しているのかは現在まだわかっていない。本研究により、プロバイオティクスを経口摂取した時に気管内分泌物に対してどのような影響を及ぼすかが解明されると期待される。 本研究により、プロバイオティクスと気管内分泌物との関連が解明されれば、プロバイオティクスが腸管内だけではなく気道への作用を目的とした治療や生活習慣につなげていくことができるようになると考えている。
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