世界保健機関の推計によると、世界人口の3分の1にあたる20億人が結核に感染し、そのうち毎年800万人の新たな結核患者が発生し、300万人が結核で死亡している。結核菌の治療薬に対する多剤耐性菌の流行が、公衆衛生上の世界的課題とされており、新たな治療薬の開発が望まれている。本研究では、核酸代謝と硫黄代謝に注目して研究を進め、核酸代謝は細胞の増殖に重要であることが分かった。また、結核菌は硫黄代謝に関する新たなタイプの酵素をもつことが分かった。結核菌における硫黄代謝の生理的意義については、明らかになっていないため、これらの結果は硫黄代謝を理解する基盤となり、創薬研究への応用が期待できる。
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