研究課題/領域番号 |
21K15458
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研究機関 | 医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所 |
研究代表者 |
中嶋 章悟 医療法人さわらび会福祉村病院長寿医学研究所, 長寿医学研究所, 研究員 (90895509)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | HBV / ポリメラーゼ / 酵素 / 非核酸系逆転写阻害剤 / 薬剤耐性変異 |
研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)ポリメラーゼは、ウイルス性タンパク質のうち唯一酵素活性を有する魅力的な創薬標的である。申請者はすでに共同研究者とともに、DNA伸長活性を有するリコンビナントHBVポリメラーゼの精製に成功し、伸長活性を阻害する非核酸系逆転写阻害剤(NNRTI)を同定した。本研究ではこれまで得ている結果を活かし、HBVポリメラーゼとNNRTIの結合部位や耐性変異機構の解析といった関係解明を目指している。 HBV同様に逆転写酵素を持つヒト免疫不全ウイルス(HIV)では多くのNNRTIが同定(ネビラピン、リルピピリン等)されており、また逆転写酵素との結合ポケットも立体構造から詳細な解析がなされている。これらHIVのNNRTIは共通しない構造をもっているが、1つの共通したポケットに結合することも明らかにされている。これら知見を踏まえHBVのNNRTI結合ポケットは、HIVと同様に共通した1つなのか、それとも化合物構造によって様々な結合ポケットが存在するかなどの関係解明に向けて、様々なNNRTI群同定をまずは行った。すなわちリコンビナントHBVポリメラーゼと相互作用し、HBV細胞培養系でHBV複製を阻害する8化合物をリードとした計455個の類縁化合物を用いて、HBV細胞培養系での化合物スクリーニングを行った。その結果、リード化合物Aより約8倍活性が高い類縁化合物Bを含む3個の類縁化合物を同定した。これら化合物群は様々な構造を持っており、HBVポリメラーゼとの関係性探索において重要な知見となりえる。 次年度では、これまでに得た様々な化合物構造を持つNNRTIを用いて、HBVポリメラーゼとNNRTIの結合部位や耐性変異機構の解析を実施予定である。合わせて類縁化合物Bをリードとした、さらなる高活性をもつ化合物探索も引き続き続ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定よりやや遅れているが、本年度の研究により様々な化合物構造を持つNNRTI候補を多数得ることに成功した。これは次年度研究を発展させるための重要な基盤になるものである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果により様々な化合物構造を持つNNRTI候補を多数得ることに成功したため、次年度ではHBVポリメラーゼとNNRTIの結合部位や耐性変異機構の解析を実施予定である。また引き続きNNRTIのさらなる探索を行い、有望な創薬シーズ開発にも努める。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)1,246,512円の未使用額が生じたが、翌年度に使用する事が効率的と考えたため、2022年度に持ち越した。 (使用計画)1,246,512円の未使用額は消耗品購入等にあてる。
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