研究課題/領域番号 |
21K15485
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
喜安 佳之 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (70898460)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | CCR1 / CXCR2 / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
自作プラスミドでKRAS G13D over expressionを導入したマウス大腸癌細胞株MC38を作成し、その増殖を野生型マウス、CXCR2ノックアウトマウスを用いた皮下移植で評価した。しかし、KRAS変異MC38細胞株は非常に増殖が強く、CXCR2ノックアウトマウスであっても4週で死亡してしまい、評価が困難だった。また、CCR1ノックアウトマウスでも同様の結果を確認した。先行研究(Liao et al. Cancer Cell 2019)のグループに連絡し、使用したプラスミドを入手したが、大腸菌で増殖させることが困難だった。 しかし、CXCR2ノックアウトマウスにparental MC38を皮下移植したところ、WTマウスと比較して腫瘍増殖が有意に抑制されることを確認した(P<0.05)。CXCR2を阻害すると大腸癌の増殖が抑制されることがわかった。放射線照射にCXCR2ノックアウトマウスの骨髄を移植したマウスへMC38を皮下移植および脾注による肝転移を作成した。WTの骨髄を移植したマウスと比較して両者において腫瘍増殖、転移の増殖が有意に抑制された(P<0.05, P<0.05)。骨髄細胞上のCXCR2を阻害することで腫瘍増殖、転移を抑制できることを確認した。 さらにCXCR2ノックアウトマウスに抗CCR1抗体を投与してMC38皮下移植モデルにおける抗CCR1抗体の上乗せ効果を確認した(P<0.05)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の背景であったKRAS変異大腸癌における腫瘍微小環境の評価と、CCR1, CXCR2阻害による免疫機能の改善については、変異させたMC38の増殖が非常に強く、評価が困難であると判断した。 しかしparentalのMC38であってもCXCR2による腫瘍増殖抑制効果を皮下腫瘍モデル、肝転移モデルによって確認した。さらに抗CCR1抗体による上乗せ効果を確認することができた。
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今後の研究の推進方策 |
CCR1抗体による阻害がCXCR2阻害へ上乗せ効果があることがわかったため、現在フローサイトメトリーによってマウス骨髄球上のCCR1とCXCR2の分布を確認している。 CXCR2阻害が腫瘍微小環境に与える影響を評価し、腫瘍増殖抑制のメカニズムを検討するため、免疫組織染色を現在行っている。 腫瘍抑制効果については、他のマウス大腸癌細胞株CMT93を用いて肝転移モデルを作成し、CXCR2阻害による転移抑制効果の評価を予定している。またCXCR2とCCR1を同時にノックアウトしたマウスを作成し、CCR1抗体投与と同様に腫瘍増殖抑制効果があるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)有効な利用の為、繰越金が生じた。 (使用計画)次年度の物品費に充当の予定である。
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