研究課題
エクソソームは、腫瘍の増殖や転移に深く関与しているものの、その生理的、病理的な機能の詳細はほとんどが不明である。また、シアル酸含有糖脂質であるガングリオシドは、腫瘍細胞の増殖能や浸潤能、転移形成等の悪性形質に大きく関与している。本研究の目的は、ガングリオシド組成を改変した細胞を用いて、腫瘍細胞や正常細胞、即ち腫瘍の微小環境に対する腫瘍細胞由来エクソソームにおけるガングリオシドの作用の詳細を明らかにすることである。最初に、ガングリオシドGD3欠損細胞/GD3強制発現細胞の細胞培養液上清より回収したエクソソームの構成分子の発現レベルをウェスタンブロッティング法により比較した。まず、エクソソームマーカーであるCD63やTSG101などの分子がGD3強制発現細胞由来エクソソームに多く含まれていた。また、細胞接着分子であるインテグリンの多くのサブユニットがGD3強制発現細胞由来のエクソソームにおいて高いレベルで発現していることが明らかとなった。さらに、エクソソームの標的細胞への作用解析を行い、興味深い結果を得た。
2: おおむね順調に進展している
エクソソームマーカーやインテグリンサブユニットの多くがGD3発現細胞由来エクソソームにおいてGD3欠損細胞由来のエクソソームと比較して高発現していることが明らかになった。また、GD3強制発現細胞由来のエクソソームがメラノーマの細胞内シグナルを活性化することを明らかにした。これらは新たな発見である。さらに、エクソソームの標的細胞の悪性形質増強作用の解析を行い、興味深い結果を得られたため。
上記で明らかとなった分子群のエクソソームにおける機能や、ガングリオシドとのクラスター形成の有無の解析を進める。
今年度、使用を見込んでいた試薬等の入手が困難となり、来年度使用予定となったため。
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Scientific Reports
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