スキルス胃癌や卵巣癌で見られる腹膜播種は患者のQOL悪化および予後不良の直接的な原因であるが、未だ有効な治療法は確立されていない。本研究では癌細胞が腹腔内においてクラスターを形成するという現象に着目し、腹膜播種の分子メカニズムを明らかにすることを目的とした。癌細胞は腹腔内において組織因子を介して血液凝固系活性化およびフィブリン形成を誘導し、そのフィブリンを介してクラスター形成および腹膜へ接着することで転移巣を形成することを発見した。腹腔内におけるフィブリンを介したクラスター形成が腹膜播種に対する新規治療標的となることが示唆された。
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