本研究の目的は、現状では研究レベルでしか行われていない腫瘍内多様性の解析を一般臨床で行える方法として確立すること、およびその臨床的意義を明らかにすることである。計16症例の脳腫瘍検体から空間的に離れた部位を切り出し、網羅的遺伝子変異解析を行うことで腫瘍内多様性の解析を行った。得られた各部位の体細胞変異のデータより腫瘍内クローン進化の系統樹の作成し、脳室側から脳表側へ拡がる進化が予測された。また、腫瘍内多様性の程度が再発までの期間と相関する可能性が示唆された。本研究の結果は、日常臨床における腫瘍内多様性の解析の臨床的意義につながるものであり、今後の脳腫瘍の治療戦略に影響を与えることが期待される。
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