研究課題/領域番号 |
21K15533
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
弓削 亮 広島大学, 病院(医), 講師 (70794791)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 免疫チェックポイント / 間質 / 大腸癌 / 免疫細胞浸潤 |
研究実績の概要 |
本研究では、CAFを標的としたPDGFR阻害剤の併用が抗PD-1抗体による癌免疫療法の感受性を上げるという仮説の元、腫瘍免疫における3つの組織学的phenotypeを再現した同系免疫応答大腸癌肝転移マウスモデルを作製し、以下の検討を行うことで、本併用療法の有効性の立証及び、免疫細胞浸潤機構の解明を目指す予定とした。[1]原発巣と肝転移巣の間質量に着目したヒト大腸癌外科切除標本の免疫組織学的解析[2]CAFの単離及び組織学的phenotype別の肝転移を再現したマウスモデルの作成[3]上記の肝転移モデルに対する抗PD-1抗体及びPDGFR阻害剤による転移抑制効果の検証[4]腫瘍微小環境の変化を多面的に解析し併用療法の有効性及び免疫細胞浸潤機構を検証。 今年度は主に[4]についての解析を進めた。抗PD-1抗体単剤群の両群の肝転移腫瘍からそれぞれRNAを抽出し、RNAseq解析及びGSEA解析を行ったところ、併用群においてPDGFR軸を含む複数の間質形成に関連する経路が抑制され、T細胞、B細胞、サイトカイン関連などの腫瘍免疫に関わる複数の経路が活性化されていた。また、肝転移巣から単細胞浮遊液を作成し、腫瘍内のCD8及びCD4陽性T細胞の活性化をフローサイトメトリーで解析したところ、併用群においてCD62L陰性でCD44陽性、CD69 陽性の活性化CD8及びCD4陽性T細胞の割合がそれぞれ有意に増加していた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに、予定していた研究計画の[1]~[4]までを遂行した。タイムスケジュールとしてもおおむね順調に進んでいる。ここまでのところ、研究計画を抜 本的に見直しが必要となるような予期せぬ問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまで得られたデータを集積し、本併用療法の有効性を統計学的に解析し論文化していく予定である。
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