本研究では、CAFを標的としたPDGFR阻害剤の併用が抗PD-1抗体による癌免疫療法の感受性を上げるという仮説の元、腫瘍免疫における3つの組織学的phenotypeを再現した同系免疫応答大腸癌肝転移マウスモデルを作製し、以下の検討を行うことで、本併用療法の有効性の立証及び、免疫細胞浸潤機構の解明を目指す予定とした。[1]原発巣と肝転移巣の間質量に着目したヒト大腸癌外科切除標本の免疫組織学的解析[2]CAFの単離及び組織学的phenotype別の肝転移を再現したマウスモデルの作成[3]上記の肝転移モデルに対する抗PD-1抗体及びPDGFR阻害剤による転移抑制効果の検証[4]腫瘍微小環境の変化を多面的に解析し併用療法の有効性及び免疫細胞浸潤機構を検証。 [1]に関しては、原発巣と転移巣の間質量に相関を認めていた。[2][3]に関しては、脾臓に癌細胞単独、CAF細胞と癌細胞の共移植を行うことでphenotype別の肝転移モデルを作成し、免疫組織学的検討によって原発巣の組織学的特徴を反映した肝転移巣であることが確認された。治療実験では基本的には併用群においてコントロール群、各単剤投与群と比較して有意な転移抑制効果を認めていた。[4]に関しては腫瘍微小環境の変化を多面的に解析し併用療法の有効性及び免疫細胞浸潤機構を検証に関して、Excluded typeモデルにおいてPD-1単剤投与群と、併用群の移植腫瘍からRNAを抽出し、RNAseqを実施した。GSEAにて比較したところ、併用群において有意に腫瘍免疫の活性化が認められた。
|