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2022 年度 実施状況報告書

カルシウムシグナル伝達を介したフェロトーシス抵抗性の分子機序解明と治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K15539
研究機関公益財団法人がん研究会

研究代表者

白濱 仁深  公益財団法人がん研究会, がん化学療法センター ゲノム研究部, 研究員 (20838552)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2024-03-31
キーワードフェロトーシス / 細胞密度 / メラノーマ
研究実績の概要

細胞死の一形態であるフェロトーシスには、複数のがん種およびがん種特有な性質が関連していることが知られている。一方で最近、細胞の密度が上がるとフェロトーシスが起こりにくくなる例が複数報告され、注目を浴びている。この現象は、体内で転移するがん細胞が凝集すると細胞死を回避しやすくなることを示している可能性がある。そこで、この細胞死回避を防ぐためにメカニズムの解明が求められている。
本年度は、前年度のトランスクリプトーム解析に続き、同じメラノーマ細胞株を用いてメタボロームデータの比較解析を行った。低/高細胞密度における代謝物を検討した結果、高細胞密度においてTCAサイクルが亢進していることが認められた。TCAサイクルの亢進は、脂質新生に寄与することが知られている。実際に、脂質新生に関連する代謝物の多くは高細胞密度において上昇していた。また、脂質新生に関連する酵素の遺伝子発現も同様に亢進が認められた。これらのオミクスデータ解析は共通して、高細胞密度における脂質代謝の亢進を示唆しており、それがフェロトーシス抵抗性に繋がっていると考えられた。
次に、脂質関連分子の中でも、高密度において特に遺伝子発現の亢進がみられたSCD(stearoyl-CoA desaturase; 脂肪酸不飽和化酵素の一つ)に着目した。複数のメラノーマ細胞株を用いて検討を行ったところ、細胞密度の上昇に伴い、SCDの遺伝子およびタンパク質発現が亢進することを認めた。そこでSCDのノックアウトを行い、フェロトーシス誘導剤への感受性評価を行ったところ、密度が高いほどSCD阻害によるフェロトーシス誘導効果が認められた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

1.細胞密度の違いに基づくメタボローム比較解析を実施し、高細胞密度において脂質新生が亢進していることが示唆される結果を得た。この結果は、前年度のトランスクリプトーム解析結果と矛盾しない。
2.脂質関連分子の中でも、SCDに着目した検討を行った。複数のメラノーマ細胞株を用いてSCDの遺伝子発現およびタンパク質発現を検討したところ、細胞密度依存的な亢進がみられた。そこでSCDのノックアウトを行い、フェロトーシス誘導剤への感受性評価を行ったところ、密度が高いほどSCD阻害によるフェロトーシス誘導効果が認められた。

今後の研究の推進方策

これまでの検討を通じて、密度に関係したフェロトーシス制御因子としてSCDを同定した。今後は、上流でSCDを制御する因子に関する検討を行う。必要に応じて外部の公共データを取り入れた解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

海外の学会において研究の成果報告を行うため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] オミクスデータに基づく細胞密度依存的なフェロトーシス抵抗性の解析2022

    • 著者名/発表者名
      白濱 仁深、冨田 章弘
    • 学会等名
      第26回 日本がん分子標的治療学会学術集会
  • [学会発表] メラノーマ細胞における密度依存的なフェロトーシス抵抗性に関するオミクス解析2022

    • 著者名/発表者名
      白濱 仁深、冨田 章弘
    • 学会等名
      第81回 日本癌学会学術総会

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公開日: 2024-12-25  

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