消化管間質腫瘍(GIST)は切除不能・再発の症例は、予後不良である。切除不能・再発GISTに対してはチロシンキナーゼ阻害剤(イマチニブ)の投与が行われるが、その耐性獲得が臨床上、問題となっている。また予後、悪性度を規定する因子として現在は腫瘍径など腫瘍に関する因子しか用いられておらず有用なバイオマーカー、特に血清マーカーの報告はない。今後イマチニブの耐性機序を解明すること、血清マーカーから悪性度、薬剤耐性を予測することは臨床的に非常に重要となると考えられる。GISTにおける悪性度、薬剤耐性に関与する血清バイオマーカーを同定し、今後のGIST新規治療、スクリーニング、経過観察など臨床への応用を目的とし研究をおこなう。現在多施設共同研究により集積した高リスクGIST臨床検体129例を用いて過去に悪性度の因子として報告したがん抑制遺伝子FBXW7が高リスク症例の中でもさらに予後不良群で低発現であることを証明した。また術後補助化学療法未施行症例でFBXW7低発現症例が予後不良であり、施行症例でFBXW7発現によらず予後に差がないことから何らかのイマチニブ耐性、治療効果とFBXW7が関与している可能性が示唆された。 また、GIST細胞株を用いて、イマチニブへの暴露を行い薬剤耐性GIST細胞株の樹立を試みた。非暴露、暴露細胞株を用い遺伝子発現の違いを検索した。候補遺伝子がピックアップされ細胞実験中である。
|