研究課題/領域番号 |
21K15561
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
河野 由美子 関西医科大学, 医学部, 講師 (10598957)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 放射線塞栓療法 / RI標識リピオドール |
研究実績の概要 |
invitro実験にて、AH109TC細胞にガンマセルを用いた外照射を行い。線量ごとの細胞増殖率を測定した。 invivo実験にて、両側大腿腫瘍モデルラット(細胞AH109TC、マウスF344/NJcl-rnu/rnu)を作成し、腫瘍生着の確認および、腫瘍増殖曲線を作成した。このモデルラット2匹に対して未標識lipiodolを用いた片側腫瘍の血管塞栓術を行い、経時的に腫瘍サイズの評価を行い、腫瘍縮小効果を確認した。引き続き、同モデルラット3匹に対してGa-67標識lipiodolを用いた片側腫瘍の血管塞栓術(2.5MBq/100μL)を行い、経時的に観察およびSPECTイメージングを行った。うち1匹は塞栓時に出血したため(1.25MBq/50μL)の投与となった。6時間後で死亡認めたため急遽解剖とSPECT撮影を行った。残り2匹は投与後7日までの排泄物の線量測定と投与後3,5日目にSPECTを撮影し7日目にラットの解剖を行い、各臓器の放射能分布を確認した。結果、投与後6時間では投与下腿にSUVmax21の高度集積が見られたが、肝臓や血液にもわずかな集積が見られていたが、3日目や5日目ではそれぞれSUVmax 19.5, 13.3と経時的な集積減少が見られた。塞栓側の腫瘍の増殖抑制が見られたが一方で投与量が多かったため、下腿の血流障害がみられた。解剖による体内動体解析では腫瘍に10-13%ID/gのGa-67の集積が見られた一方で、肝臓や脾臓、腎臓にもそれぞれ約9%、11%、7%のGa-67の集積が確認できた。さらに、排泄物の測定から投与量のGa-67標識lipiodolの排泄は投与から1週間後までで尿から投与量の12%、糞便から投与量の25%程度が排泄されることがわかった。100μLの投与は血流障害をきたすため、今後はその半量の投与を目標とすることとしたが、イメージングとしてGa-67の画質が不良であり、定量性が低いことが課題として浮かび上がった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
Ga-67でのイメージングからの線量評価は定量性が十分と言えるものではなかったことより治療RIであるY-90標識リピオドールでの塞栓、定量はまだできていない。一方、近年のRI治療の線量測定が重要視されており、現時点で既出の報告からも、Ga-67およびY-90での評価は限界があると思われるためLu-177標識リピオドールでのでの塞栓定量に変更し、今後実験していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
Lu-177を用いた神経内分泌がんを標的とした内用療法が臨床利用が開始され、国内情勢を考えると、放射線測定と治療が同時に評価できるLu-177標識リピオドールを開発することがより本研究の価値を上げると考え、Lu-177標識リピオドールでの評価を行うことに研究計画を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度でY-90標識lipiodolの実験予定であったが、次年度にLu-177標識lipiodolを使用する実験に変更した。そのためLu-177標識lipiodolの購入予算に使用予定である。
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