腫瘍溶解性ウイルスVesicular stomatitis virus(VSV)による腫瘍溶解効果とCarbon nanotubes (CNT) による光温熱療法を組み合わせ(VSV+CNT群)による骨肉腫に対する腫瘍殺傷効果を調べた。In vivoで6週齢C3Hマウスの背部にマウス骨肉腫細胞LM8(1 X 107 cells)を移植し (day0)、骨肉腫マウスモデルを作成した。LM8移植後1週後 (day7) にVSV及びCNT溶液を局注してその翌日(day 8)より近赤外線レーザーを1日あたり5分間、連続6日間照射し、その後 (day14) 腫瘍を辺縁切除して腫瘍体積を測定した。さらにマウス死亡後の局所再発、遠隔転移、生存期間を確認した。比較対象としてVSV単独注射群(VSV群)、CNTによる光温熱療法単独群(CNT群)、未治療群でも腫瘍体積、局所再発、遠隔転移、生存期間を評価した。腫瘍体積についてはVSV+CNT群は他の3群と比較して小さい傾向にあった。局所再発についてはVSV+CNT群に局所再発例を認めなかった。遠隔転移と生存期間については4群間で有意差はなかった。VSVによる腫瘍溶解効果とCNTによる光温熱療法を組み合わせは原発巣縮小をもたらし、さらに辺縁切除での局所再発の減少に寄与した。つまりVSVによる腫瘍溶解効果とCNTによる光温熱療法を組み合わせは原発巣根治と患肢機能温存を両立する可能性があることが示された。
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