研究課題
本研究課題は、新たな患者由来骨髄腫細胞を用いた骨髄腫モデルマウスにおいて、共通の抗体可変領域から作成したCAR-T細胞療法とBiTE療法の比較検討を行うことで、CAR-T細胞やBiTEのin vivoでの動態や腫瘍免疫学的作用機序について検討するとともに、造血器悪性腫瘍患者における免疫細胞療法のスクリーニングやファインチューニングに応用可能なプラットフォームの構築を目指すものである。初年度には、BRGhSマウスを本学動物実験施設に導入し安定したマウスコロニーを確立することに成功した。 また、患者由来骨髄腫細胞細胞を試験的に接種しマウス骨髄内に生着していることを確認した。2年目の令和4年度は患者由来細胞の生着率を担保した骨髄腫モデルマウスを確立すべく調整を行う予定であったが研究を補助していた研究員の転勤に伴いin vivoの研究については保留とし、以後はin vitroの研究を拡大しておこなう方針とした。これまでの研究結果より、T細胞のみでなくNK細胞を含めて活性化することが抗腫瘍免疫において重要であるという知見を活かし、抗体改変技術を用いて抗体のFc領域を特異的に認識する新規構造の抗体(bridging-BiTE)を作成した。bridging-BiTEと既存の骨髄腫に対する抗体製剤を併用してin vitro/in vivoにおける有効性が増強されることを確認した。in vivoの検討の遅れにより当初目標としていたCAR-T細胞療法とBiTE療法の比較検討実験系の構築の目的は達成できなかったが、T細胞・NK細胞の活性化能を有するbridging-BiTEにより骨髄腫への免疫応答を増強させることに成功し、今後の複合的免疫療法開発につながる知見を得た。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
Blood
巻: 142 ページ: 1789~1805
10.1182/blood.2022019082