• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

胃癌における化学療法駆動性抗腫瘍免疫の解明と治療応用

研究課題

研究課題/領域番号 21K15570
研究機関九州大学

研究代表者

安藤 陽平  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (40746864)

研究期間 (年度) 2022-12-19 – 2025-03-31
キーワード胃癌 / 化学療法 / シングルセル解析 / 治療耐性化 / 腫瘍微小環境
研究実績の概要

近年、胃癌においても免疫療法が標準的治療の一つとなり、胃癌における腫瘍微小環境(TME)の解明は進んでいる。しかし、未だに腫瘍微小環境(TME)の全容は解明されておらず、進行胃癌の予後は依然として不良である。本研究では、1細胞ごとの網羅的遺伝子発現解析を行うシングルセルRNAシーケシング(scRNA-seq)を用いて、化学療法によって誘導される腫瘍微小環境(TME)の変化に着目し、治療耐性化の機序解明を目的とした。当科で胃切除術を施行した胃癌症例から採取した腫瘍部と正常粘膜を対象とし、術前化学療法(NAC)の有無によって変化する免疫細胞とその機能的変化についてシングルセルRNAシーケシング(scRNA-seq)を用いて評価した。全9症例の統合解析を行った結果、術前化学療法(NAC)群でCD8陽性T細胞は殺細胞性が、疲弊化因子とともに変化していた。また、術前化学療法(NAC)群で腫瘍細胞と制御性T細胞の免疫抑制因子の変動をみとめた。以上から、胃癌に対する化学療法によって、腫瘍微小環境(TME)における免疫原性が変化すると同時に、腫瘍は免疫回避機構として免疫抑制環境を変化させていくことが示唆され、それが治療耐性化の機序の一つである可能性が考えられた。シングルセルRNAシーケシング(scRNA-seq)による解析は進行中であり、胃癌TME内の各種免疫細胞を腫瘍環境毎に分けて詳細な遺伝子解析を行なっている。今後、本研究で明らかになった免疫抑制因子を標的とした免疫療法の検討や各種免疫細胞の空間的な位置情報を追加することでより詳細な解析を行う予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

胃腺癌検体のサンプルのライブラリ作成は順調に行うことができている。シングルセルデータ解析手法に関しても習熟度が上がってきており,解析を重ねて,胃癌の腫瘍微小環境における各種免疫細胞の役割を解明していく。

今後の研究の推進方策

胃癌の腫瘍微小環境における各種免疫細胞のサブタイプ,その機能を同定する。また、化学療法の有無での相違を遺伝子発現レベルで解析し,腫瘍微小環境に与える影響を解明する。

次年度使用額が生じた理由

研究計画はおおむね順調に進展しており、資金を有効に使用できたため。次年度は引き続き研究用試薬、抗体などに使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2024

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Tumor-infiltrating monocytic myeloid-derived suppressor cells contribute to the development of an immunosuppressive tumor microenvironment in gastric cancer2024

    • 著者名/発表者名
      Tsutsumi Chikanori、Ohuchida Kenoki、Katayama Naoki、Yamada Yutaka、Nakamura Shoichi、Okuda Sho、Otsubo Yoshiki、Iwamoto Chika、Torata Nobuhiro、Horioka Kohei、Shindo Koji、Mizuuchi Yusuke、Ikenaga Naoki、Nakata Kohei、Nagai Eishi、Morisaki Takashi、Oda Yoshinao、Nakamura Masafumi
    • 雑誌名

      Gastric Cancer

      巻: 27 ページ: 248~262

    • DOI

      10.1007/s10120-023-01456-4

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi