研究課題
本研究では、ER陽性乳癌であるGS3(エストロゲン(E2)抑制モデル)とSC31(E2増殖モデル)のシングルセルデータを比較解析することで、ER陽性閉経後乳癌、AI耐 性症例に対するエストロゲン療法有効群を特定するバイオマーカーの開発を目的としている。GS3/SC31のプラセボ/E2治療後、4サンプルから分離したシングルセル をシークエンスし、得られたデータをRソフトウェアとSeuratパッケージを使用して解析した。昨年度中に論文発表まで達成した(Cancer誌;2021, 13(24), 6375)。そこで今年度は、この研究成果をもとに、さらなるホルモン治療とシングルセル解析に取り組んだ。GS3に対し、エストラジオール1mg対プラセボ試験を行うと、E2治療により治療退縮を認めた。興味深いことに、内因性のアンドロゲンであるジヒドロテストステロン(DHT)12.5mg対プラセボ試験を行ったところ、DHTでも腫瘍退縮を認めた。プラセボ群で強陽性であるCEACAM5(CEA)発現は、E2治療後にほぼ消失していたが、DHT治療後は、発現量に変化が見られなかった。3サンプルを統合したシングルセル解析では、プラセボ群と比較し、E2治療、DHT治療後ともに、G1期細胞の割合が増加し、G2M期細胞の割合が減少していた。この研究成果を2022年12月7日に米国テキサス州で開催された第45回San Antonio Breast Cancer Symposium ポスターセッション(P3-11-05)で発表した。現在は、追加のシングルセル解析を行い、論文執筆中である。2年間を通して、論文1編、国際学会2回、国内全国学会7回の発表を行い、研究成果を発信した。また、本研究は、日本乳癌学会の研究奨励賞、日本外科学会のYoung Investigator's Awardを受賞した。
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bioRxiv
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10.1101/2023.01.31.526403