研究課題/領域番号 |
21K15618
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
向井 丈雄 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60871324)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | ミクログリア / 臍帯 / 間葉系細胞 / ニューロン |
研究実績の概要 |
本研究ではマウスのニューロン及びミクログリア初代培養傷害モデルを用いてUC-MSCの単層内あるいはゲル内3次元培養における遊走・被覆保護による神経保護効果の有無を検討した。まずLentivirus vectorを用いて数ロットのUC-MSCへGFP遺伝子を導入し、GFP導入MSCを2ロット作成した。次にマウス由来のニューロンとミクログリアをMACSにより磁気分離した後、単層あるいはハイドロゲル内で培養した。生細胞タイムラプスイメージング装置を使用し、ニューロン、ミクログリアの生細胞タイムラプスを撮像した。平面培養では撮像可能であったが、3次元培養では撮像条件の最適化が必要であった。 傷害方法として脳梗塞(低酸素虚血)を再現するためoxygen-glucose deprivation(OGD)による傷害モデルを作成し、ニューロン、ミクログリアのOGDを行った。ニューロンは4時間のOGDで傷害を来たすモデルとして確立したがミクログリアのOGD時間にはばらつきがみられた。次年度においてGFP導入MSCとOGDモデルの共培養を行い、タイムラプスイメージング撮像によるMSC動線追跡と、傷害ニューロン、ミクログリアの定量化を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Lentivirus vectorを用いて数ロットのUC-MSCへGFP遺伝子を導入し、GFP導入MSCを2ロット作成した。次にマウス由来のニューロンとミクログリアをMACSにより磁気分離した後、単層あるいはハイドロゲル内で培養した。生細胞タイムラプスイメージング装置を使用し、ニューロン、ミクログリアの生細胞タイムラプスを撮像した。平面培養では撮像可能であったが、3次元培養では撮像条件の最適化が必要であった。 傷害方法として脳梗塞(低酸素虚血)を再現するためoxygen-glucose deprivation(OGD)による傷害モデルを作成し、ニューロン、ミクログリアのOGDを行った。ニューロンは4時間のOGDで傷害を来たすモデルとして確立したがミクログリアのOGD時間にはばらつきがみられた。これらは当初の研究計画を概ね遂行できていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は生細胞タイムラプスイメージング装置により24時間共培養の観察、動線の追跡を行う。ニューロン、ミクログリアをMAP2、Iba1でそれぞれ染色して位相差顕微鏡と共焦点レーザー顕微鏡により観察する。また、UC-MSCをGFPで検出する。 細胞の形態変化に関して、細胞骨格を司るF-Actin(右図)を染色することミクログリアの非活性化型(軸索突起状)/活性化型(アメーバ状)の形態変化を評価する。ニューロンはMAP2染色により軸索長の測定を行う。単層培養では細胞をトリプシンで剥離、3次元培養ではゲル内から遠心で細胞分離し、マウスプライマー、抗マウス抗体を用いてRNA、タンパクレベルでUC-MSCのニューロン・ミクログリア保護効果を評価する。炎症性サイトカイン(IL-1β、TNFα、IFNγ)、pNFκB pathway解析、caspase活性の評価を行う。またFACSによりミクログリアのCD206/86とArg1/iNOS発現の割合も評価する。上記評価項目を、コントロール群、OGD群、OGD+UC-MSC群で比較検討することでUC-MSCの保護効果(遊走・被覆)の有無を検討する。 本研究ではUC-MSCの遊走と被覆保護の有無の検討までを目的としている。MSCにはstromal cell-derived factor-1 alpha (SDF-1α)/chemokine (C-X-C motif) receptor 4 (CXCR4)等を介した遊走機能が報告されており、UC-MSCの傷害細胞への遊走機序の解明に関して、本研究の後の発展研究と考えている。
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