研究実績の概要 |
睡眠時ブラキシズム(SB)は睡眠中の非機能的な顎運動であり ,顎口腔系の諸器官に様々な悪影響を及ぼし ,歯科領域における患者QOLの低下を招く原因であるが, その詳細な発症機序は未だ明らかではない. 過去にセロトニン2A受容体遺伝子(HTR2A)の一塩基多型がSBの発症リスクに関与することが報告されており, セロトニン2A受容体を発現するGABA作動性ニューロン(抑制性)の睡眠中の活性の減弱による細胞間ネットワークの変化がSBの発生機序に関与すると示唆されているが, これらの標的は脳内に存在することから , 直接的な検証は困難とされてきた. 本研究では, 先行研究にて樹立さ れたSB特異的iPS細胞と, HTR2A 陽性ニューロンのモニタリングシステムを応用し, 標的ニューロンに特異的な神経活動とバーストの異常をマルチウェル微小電極アレイシステムによって検出し, SBに特異的な細胞間ネットワークを明らかにすることを目的とする. さらにゲノム編集技術を用いた遺伝子改変iPS 細胞を作成し, 検出された異常が再現可能かを検証することでSB 疾患モデルの確立を目指す. これまでにマルチウェル微小電極アレイシステムによって, iPS細胞(SB:Control=3:3)から分化誘導されたニューロンの機能解析を行なった. 全ての細胞株において,周期的なバースト発火が確認できており, ニューロンの成熟に伴う細胞間ネットワークが構築されたことが示唆された. 今後,Mean Firing Rate, Weighted Mean Firing Rate, Number of Active Electrodes, Number of Bursts, Number of Bursting Electrodes, Burst Durationについて,SBとControl間で比較検討する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響により研究活動が一時制限された時期があり, 解析開始が遅れ, それに伴い当初の計画通りに進まなかった点があったため, 次年度使用額が生じた. 今後は当初計画していた機能解析に関連する試薬等の整備, また効率的にサンプル供給を進めるための設備確立のため, 使用する予定である.
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