研究課題/領域番号 |
21K15649
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
佐々木 雄一 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 特任助教 (00887656)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 老化 / ミトコンドリア / アンジオテンシンII / 受容体 / マイトファジー |
研究実績の概要 |
生活習慣病に関わる因子がAT1受容体と連関し、下流のミトコンドリア質管理への影響及び様々な加齢性変化の機序について解明するため、2022年度は生活習慣病である糖尿病・AGE/RAGEとAT1受容体の連関およびサルコペニアへの影響についての評価を行った。 培養細胞実験では、骨格筋筋芽細胞(Human skeletal muscle myoblasts: HSMM)を用いた。HSMMにAGE 200μg/mLを投与したところ、ミオシン重鎖(MHC)の発現低下を認めた。一方、RAGE blockerであるFPS-ZM1を投与することによりMHCは回復を認めたことから、AGEは骨格筋芽細胞の分化能を低下させることが示唆された。さらに、AGE投与により筋萎縮のマーカーであるMURF-1の増加を認めた。オートファジーに関しては、オートファジーのマーカーであるLC3-IIの増加を認めたが、p62の増加も認めることから、AGEによりオートファジーが抑制されることが示唆された。 動物実験では、糖尿病モデルマウスであるdb/dbマウスを用いた。C57BL6マウスと比較して、db/dbマウスでは腓腹筋、ヒラメ筋、長趾伸筋の筋肉重量の低下、骨格筋力(握力)の低下を認めた。また、MHCの発現低下を認め、db/dbマウスでの骨格筋の分化能が低下していることが示唆された。一方、db/dbマウスにARBであるカンデサルタンを投与することより骨格筋力の回復を認めたことから、糖尿病はサルコペニアの誘因となること、またARBによりサルコペニアへの進展が抑制されることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖尿病に伴うサルコペニアに関して、AGE/RAGEが関与しており、ARB投与により糖尿病モデルマウスの握力の回復を認めた。細胞実験では、オートファジーの発現が抑制されていることが示唆された。今後、ミトコンドリアの形態や機能、マイトファジーの評価が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、高血圧、閉経モデルマウスを使用しERとAT1Rの受容体連関を検討し、またAT1R下流のミトコンドリアダイナミクスおよびマイトファジーの発現についての培養細胞や動物実験での検討を予定している。
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