研究課題/領域番号 |
21K15651
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
土井 俊文 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60800985)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 好中球細胞外トラップ / NK細胞 / 腫瘍免疫学 |
研究実績の概要 |
前年度はヒト白血病細胞株HL-60をAtRA (All-trans retinoic acid)で分化誘導した好中球様細胞株や、健常人ボランティアから採取した末梢血好中球(peripheral blood neutrophil: PBN)にPMA(phorbol myristate acetate)刺激を行い、好中球細胞外トラップ(neutrophil extracellular traps: NETs)の安定した生成が可能となった。 当該年度は主に、NK細胞機能の評価を行った。NK細胞株KHYG1や、末梢血単核球(Peripheral Blood Mononuclear Cells: PBMC)を用い、パーフォリン・グランザイム・DNAM1・TIGITなどの活性化マーカー測定や、標的細胞としてK562細胞株を使用し細胞傷害活性の確認を行った。 また、動物モデルも同時に進めており、C57BL/6マウスの足底に悪性黒色腫細胞株(B16BL6)を移植した後に、下肢を切断することで肺への自然転移を起こるモデルを使用している。自然転移に対するNETsの関連を検討するため、NETs形成を阻害するDNAseⅠ・クロロキンを投与し、肺でのNETs形成の差異や、肺転移個数の変化を検討している。 また、膵癌細胞株(Pan02)の膵臓への同所移植による肝転移モデルも作成し、同様のNETs阻害実験を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
まず、前年度にCOVID-19の影響で実験の遅れがあり、引き続き当該年度にも影響を及ぼした。また、細胞傷害活性の測定は再現性を得にくく、想定よりも実験条件の設定に時間を要した。動物実験における条件設定にも複数回の予備実験を要した。
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今後の研究の推進方策 |
in vitroでのNK細胞機能へのNETsの影響に関する実験を継続する。NETsによりNK細胞機能の抑制が確認されれば、DNAseⅠ・クロロキンによる阻害実験も追加する予定である。 in vivoの2種類の動物モデルの条件設定の確立、NETs阻害実験を引き続き施行する。また、BALB/c nude mouseにMKN45とヒトPBNを腹腔内投与し、腹膜播種モデルを作成する。本モデルはNETs依存であることが知られている。さらに分離したヒトNK細胞を投与し、抗腫瘍効果を検討することでNK細胞機能へのNETsの影響を検討する。また、DNAseⅠやクロロキン投与を行い、NETsを阻害することでの治療効果への影響を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度の実験の遅れにより当該年度の、実験についてもin vivoの実験を中心に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。次年度は遅れていたin vivo実験を行うとともに、予定していた新規のマウス実験を並行して行う予定である。
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