研究実績の概要 |
臨床現場において1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は血糖コントロールの指標として測定されている。しかしながら、体内での1,5-AGの役割に関する報告は少なく、未だ不明な点が多い。本研究では、①エネルギー代謝における「1,5-AGの生理学的役割」、②加齢による「1,5-AG代謝の変化」を明らかにすることを最終目的とする。令和4年度は①エネルギー代謝における「1,5-AGの生理学的役割」を解析するため、令和3年度に作成した1,5-AGを7日間持続皮下投与したモデルの肝臓と腎臓を用いて、様々な遺伝子発現の変化をリアルタイムPCRにて定量的に評価した。令和3年度の時点で、エネルギー代謝に関連する遺伝子に1,5-AGが影響を与える可能性を見いだしていたが、令和4年度ではさらに酸化ストレス関連遺伝子など20種類以上の遺伝子を検討した。リアルタイムPCRにて検出されたmRNAの増減が各臓器の機能にも影響しているか検討するため、機能評価も行った。また、若年マウスに1か月投与用の浸透圧ポンプを用い、1,5-AGを28日間持続皮下投与した血中1,5-AG高濃度モデル動物を作成した。同モデルの摘出臓器を用いて、1,5-AGを7日間投与したモデルと同様にエネルギー代謝に関連する遺伝子を始め様々な遺伝子発現の変化をリアルタイムPCRにて検討中である。同時進行で機能評価も行っている。さらに、若年マウスを長期飼育し、②加齢による「1,5-AG代謝の変化」の解析を行うために必要な48週齢以上の高齢マウスを作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度では、若年マウスに1,5-AGを28日間投与した血中1,5-AG高濃度モデル動物を作成・ 解析を行った。次に高齢マウスへの1,5-AG投与実験を行う。高齢マウスを購入ではなく長期飼育にて作成しているため 、1,5-AG投与実験の実施がやや遅れている。実施期間を延長し、次年度に高齢マウスを用いた検討を行う。
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