研究課題/領域番号 |
21K15654
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
赤堀 ゆきこ 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 助教 (80782961)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 漢方 / 肺炎球菌 / サイトカイン |
研究実績の概要 |
感冒及び肺炎などの感染症に対する治療薬として漢方方剤が処方される。漢方方剤は、病原体へ直接作用し殺菌するほか宿主免疫に作用し賦活化させるなど、重要な現象が明らかになりつつある。しかしながら、漢方方剤の分子作用機序については未解明な部分が多い。 当該年度は、漢方方剤による宿主感染防御応答への作用を解析した。マウスに漢方方剤を経口摂取させ、1週間後に血清および気管支・肺胞洗浄液(BALF)を採取し、漢方代謝産物とした。これら漢方代謝産物を用いて、肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)に対する発育阻止円形成能を調べた。その結果、漢方方剤処方による代謝産物の効果に差は認められなかった。次に、自然免疫細胞に対する作用を調べるため、骨髄由来樹状細胞(BMDC)および骨髄由来マクロファージ(BMM)を漢方方剤で刺激し、培養上清中のサイトカイン量を測定した。その結果、TNFおよびIL-6の濃度依存的な産生が明らかとなった。また、漢方方剤摂取マウス由来血清でBMDCおよびBMMを刺激した場合では、IL-1bの濃度依存的な産生が認められたのに対し、TNF及びIL-6の産生に違いがないことが明らかとなった。 以上のことから、漢方方剤ならびに漢方代謝産物は免疫細胞に直接作用するが、それぞれの作用は異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の所属機関変更に伴い、研究時間の確保が困難な期間が生じたため、進捗に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、肺炎球菌で刺激した細胞に漢方または漢方代謝産物が及ぼす影響を明らかにするため、BMDCならびにBMMを検討対象漢方または漢方の代謝産物で刺激し、産生誘導されるサイトカイン・ケモカイン量の測定と細胞活性・傷害を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
異動に伴う一時的な研究の中断のため、次年度使用額が生じた。 研究の進展に伴い支出の増額が想定される物品費に使用する予定である。
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