本研究は、感冒など呼吸器感染症状が見られる際に処方される漢方方剤11種の肺炎球菌(Sp)及び自然免疫細胞に対する作用の解明を目的に行った。本研究に用いた漢方方剤11種の内3種は、血清型に依存せずSp及び薬剤耐性Spに対して発育阻止能を示した。MIC、MBCの測定より、これらは殺菌的に働いていることが分かった。自然免疫細胞を漢方方剤で刺激したところ、TNF及びIL-6の濃度依存的な産生を認めた。一方、漢方方剤摂取マウス由来血清(漢方代謝産物)で自然免疫細胞を刺激したところ、濃度依存的なIL-1b産生を認めた。以上から、漢方方剤、漢方代謝産物の免疫細胞に対する異なる機序での作用が示唆された。
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