最終年度:フレイルとサルコペニアの代謝差異と相動性について継続して研究を行い、各疾患の特徴について分析するとともに、骨粗鬆症のメタボライトの継続解析を行った。
研究機関全体の成果:グローバル高齢化の中、要介護者増加が危惧されており、寝たきり予防による健康寿命延伸の重要性が求められている。本研究は高齢者の寝たきり予防に還元するため、フレイル・サルコペニアなどの老化関連疾患に対して、転倒関連因子の解析のために、小分子を非標的に定量計測できる質量分析器を利用して解析を行った。解析の結果、22のサルコペニアマーカーと10つの筋量マーカーを発見した。これらのマーカーは、ミトコンドリア関連、腎機能関連、メチル化メタボライトで構成されていた。これら22のサルコペニアマーカーは前述のフレイルマーカーとは重複しなかったことは、サルコペニアとフレイルの病態メカニズムの差異を示唆していた。またサルコペニア関連メタボライトの大部分は腎不全で増加するメタボライトであり、サルコペニアで腎機能に関連するメタボライトは低下を認めた。腎不全においてサルコペニアは合併することが知られているが、本研究結果はからサルコペニアではむしろ腎臓への負担が軽減していることを示唆していた。本研究は、転倒の原因になるフレイル・サルコペニア含む老化関連疾患の病態把握の発展に貢献することで、将来的な寝たきり予防のための診断や治療介入研究の発展に寄与すると考える。
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