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2021 年度 実施状況報告書

治療後白血病幹細胞の新規検査法の開発及び残存白血病細胞のサブセット解析の意義

研究課題

研究課題/領域番号 21K15662
研究機関神戸大学

研究代表者

水田 駿平  神戸大学, 保健学研究科, 研究員 (10782138)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード白血病幹細胞 / マルチパラメトリックフローサイトメトリー / 臨床検査 / 微小残存病変
研究実績の概要

2021年度はCD34+CD38-分画に存在する白血病細胞、(putative leukemic stem cell; pLSC)をフローサイトメトリー解析により検出するための基礎データ取得を目的として検討を実施した。分子遺伝学的寛解を達成した骨髄、腫瘍細胞の浸潤がない正常骨髄等において、CD34+CD38-分画での免疫形質と細胞比率を解析したところ、細胞集団は主にCD45RA-に検出されるものの、少数のCD45RA+集団を日常の臨床検査レベルでも検出できることを確認し、特に治療後には無視できない存在比率であることが分かった。文献上はCD34+CD38-CD45RA+に明確な集団が形成されればpLSCと判定できるとされているが、本データはそれらの知見とは異なる。また、CD34+CD38-分画において、正常細胞では発現されないとされるpLSCマーカー(CD7,CD11b,CD22,CD56,CD96,TIM-3,CLL-1等)も一部は発現しうること、CD45RAの有無に応じて発現動態が変化すること、治療前後で発現頻度が変化することを示唆するデータが得られた。さらに、従来よりpLSCマーカーとして考えられてきたCD33およびCD123は、多くの症例において特に治療後にCD34+CD38-で発現が認められたため、治療後のpLSCの判定における重要度は低いことが確認された。以上よりCD34+CD38-分画における正常造血幹前駆細胞と白血病細胞の鑑別について、新規の方法を確立することが重要であることが改めて示され、白血病をはじめとする骨髄系腫瘍の患者の治療前後での詳細な解析を実施したい。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

CD34+CD38-分画におけるpLSCの判断については、文献上で矛盾する点があった。その最たるものがCD45RAをpLSCマーカーとして使用することである。正常造血においてCD34+CD38-CD45RA+は、リンパ系細胞への分化が優位であるものの単球・骨髄系への分化能が消失していない、LMPP/MLPと呼ばれる集団であり、正常骨髄にも非常に少数ではあるものの存在するからである。今年度の研究ではCD34+CD38-CD45RA+が正常骨髄から検出可能であることが確認でき、さらに治療前後によりこの分画の比率が変化することが判明するなど、急性骨髄性白血病治療後のpLSC解析における非常に重要な基礎データを取得できた。また、pLSCマーカーと呼ばれるマーカーも単独では正常細胞との鑑別が不可能であることを示唆する所見が得られ、より正確なpLSC判定方法が必要であることを確認できた。

今後の研究の推進方策

pLSC解析におけるベースラインとも呼べるデータを取得できたことから、今後は白血病患者を中心にデータを取得し、pLSCの判定に有用なマーカーを改めて評価する。さらに正常および異常CD34+CD38-におけるCD45RAの有無に応じた細胞比率や表面抗原を詳細に解析することで、CD45RA発現の有無の意義について評価したい。

次年度使用額が生じた理由

少額端数の予算を無理に使用するのでなく次年度に有効利用することとした。次年度の予算に加算して計画的に使用する予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] VS38 staining contributes to a novel gating strategy in flow cytometry for small B cell lymphoma, especially in lymphoplasmacytic lymphoma/Waldenstr?m macroglobulinemia2021

    • 著者名/発表者名
      Mizuta Shumpei、Yamane Noriko、Mononobe Saya、Watanabe Asami、Matsuki Shinichiro、Komai Takao、Koba Yusuke、Mitani Sachiko、Kawata Takahito、Tamekane Akira、Watanabe Mitsumasa
    • 雑誌名

      Cytometry Part B: Clinical Cytometry

      巻: 102 ページ: 50~61

    • DOI

      10.1002/cyto.b.22000

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sensitive detection of GATA1 mutations using complementary DNA‐based analysis for transient abnormal myelopoiesis associated with the Down syndrome2021

    • 著者名/発表者名
      Mizuta Shumpei、Yamane Noriko、Mononobe Saya、Watanabe Asami、Kitamura Ritsuko、Takahara Tadamori、Matsushima Chieko、Yoshida Atushi、Okamoto Seiji、Tanaka Kuniaki、Iwai Atsushi、Ikegawa Atsuko、Wada Takahito、Usami Ikuya、Maihara Toshiro、Komai Takao、Heike Toshio、Nishida Yoshinobu、Kobayashi Kenichiro
    • 雑誌名

      International Journal of Laboratory Hematology

      巻: 44 ページ: 349~355

    • DOI

      10.1111/ijlh.13756

    • 査読あり
  • [学会発表] Development of novel gating strategy for lymphoplasmacytic lymphoma using VS38 staining2021

    • 著者名/発表者名
      Shumpei Mizuta, Noriko Yamane, Saya Mononobe, Asami Watanabe, Shinichiro Matsuki, Takao Komai, Yusuke Kobe, Sachiko Mitani, Takahito Kawata, Akira Tamekane, Mitsumasa Watanabe
    • 学会等名
      第83回日本血液学会学術集会
  • [学会発表] cDNAを鋳型とするHRM解析とフラグメント解析を用いたスクリーニングは成人T細胞白血病において効率的なCCR4変異解析を可能とする2021

    • 著者名/発表者名
      水田 駿平、山根 範子、物延 沙耶、渡邉 麻美、大谷 敦子、村山 美香、渡邊 光正、駒井 隆夫
    • 学会等名
      第22回日本検査血液学会学術集会

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公開日: 2022-12-28  

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