研究実績の概要 |
腎炎の診断方法といて重要とされるのは、腎臓に線維化やそれらを引き起こす腎炎の早期に診断を確定させることである。 二次元培養細胞系では、多くの細胞種より構成される腎臓で起こる現象を再現することは困難であった。そこで、より生体内に近い形質を有する糸球体様および尿細管様スフェロイドを用い、腎臓病を模倣するモデル培養系の作製を行った。 腎臓病モデル培養系において、スフェロイドでは線維化マーカー(SMA,Col4)の発現より早期に既存の細胞障害マーカーであるkim-1およびNGALの発現が増加することを確認した。また、線維化マーカーおよび細胞障害マーカー発現時のスフェロイド培養上清を回収し、エクソソームの抽出を行った。回収したスフェロイドおよび培養上清中のエクソソームからRNAを抽出し、RNA sequenceを用いて腎臓病早期バイオマーカー候補の選定を行った。 スフェロイドを用いた検討より選定したバイオマーカー候補分子が、腎臓病早期において検出可能か検討するため、db/dbマウス4~12週齢の尿および腎臓を回収した。db/dbマウスの4、6、10週例の組織をHE染色および炎症マーカーであるKim-1の免疫染色を行い、腎炎の表現型が表れていないことを確認した。その個体の尿において、先に作製した腎スフェロイドより同定したバイオマーカー候補分子の発現量のをmRNAレベル、タンパク質レベルにて検討を行った。
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