研究課題
がんの治療成績が飛躍的に向上する一方で、診断のショックや治療による負担は、患者に強い精神的苦痛をもたらす。がん患者の自殺率は依然として高く、患者の精神的苦痛を軽減することが重要課題である。これに対しては心理療法が推奨され、患者も医療者も支援を必要としているが、残念なことに実際に心理療法の受療に至るケースは少ない。その理由として、心理療法といっても様々なものがあり、患者や医療者にとって理解しづらいという点が高い障壁となっている。エビデンスに基づく医学的治療とは異なり、心理療法は専門家の経験から体系化・伝承されていくため、類似した支援が乱立している。本研究では、機械学習を用いて心理療法をカテゴリに再分類することを目的とした。具体的に2023年度は、がん心理療法のパターンについて因子分析によって算出された因子得点に基づいてクラスタ分析を行い、がん心理療法が3パターンに分類されることを明らかにした。この成果については、日本認知・行動療法学会にて発表し、現在論文投稿中である。また、研究に使用するQOLアウトカム評価尺度の標準化研究を並行して行い、COVID-19感染拡大下においてもオンラインによるインタビュー調査を用いてQOLを評価可能であることを明らかにした。これは今後の継続研究でも役立てることのできる重要な知見である。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)
BMC Palliative Care
巻: 22 ページ: -
10.1186/s12904-023-01138-z
総合病院精神医学
巻: 35 ページ: 353-364