研究課題
WistarラットにDiethylnitrosamineの投与を行うことにより、肝細胞がんモデルラットを作成した.これらのラットにおける体内の水分含有量および浸透圧物質の含有量を評価したところ、肝細胞がんラットでは体質量,体液量,ナトリウム・カリウム含有量がいずれも減少しているものの、体液量やナトリウム・カリウムの含有量に比して体質量の減少が顕著であることから、体質量あたりの水分含有量およびナトリウム・カリウムの含有量はいずれも有意に増加していることが明らかとなった.また、肝細胞がんラットでは24時間尿中アルドステロン排泄量が増加しており、体質量当たりの水分,ナトリウムの含有量はいずれもこの尿中アルドステロン排泄量と相関していたことから、肝細胞がんラットにおける体質量当たりの水分・ナトリウム含有量の増加にはアルドステロンが関与していることが考えられた.加えて、これらのラットにおいて少量の塩分負荷を行うと異化傾向が抑制され、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬であるスピロノラクトンを投与すると異化傾向が促進される傾向にあったことから。アルドステロンが肝細胞がんラットにおける体液保持を介して異化抑制に寄与している可能性が考えられた.
2: おおむね順調に進展している
現時点において、肝細胞がんモデルの作成には成功しており、その体液・電解質異常についても明らかにできている.
引き続き、肝細胞がんラットの体液・電解質異常に対するレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の関与などについて検討を進めていく.
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (2件)
Life Sciences
巻: 289 ページ: 120192
10.1016/j.lfs.2021.120192