今回の検討により、がんにおいては浮腫や腹水といった所見が出現する前の早期段階から組織における体液・電解質異常が起こっていることが明らかとなった。また、この組織局所における体液・電解質異常は多臓器における体液保持機構が関与していることも併せて明らかとなった。近年、組織における体液・電解質異常と高血圧を含めた心血管疾患との関連を示唆する報告もみられており、がん患者における心血管疾患発症はこの組織における体液・電解質異常を介して起こっている可能性が示唆され、「組織における体液・電解質異常」に対する治療介入ががん患者の心血管疾患を抑制しうるという可能性を示した意味で社会的意義が大きいと考えている。
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