研究課題
心不全と骨粗鬆症は非常に蔓延している老化関連症候群であり、高齢化に伴い、ますます増加している。加えて、どちらの疾患も身体機能・QOLを低下させ、再入院や長期入院と関連し、医療システムや社会に大きな影響を及ぼしている。これまでは骨粗鬆症に伴う骨折がQOL低下やADL低下を介して生命予後に影響を及ぼすと考えられてきたが、近年は骨吸収に伴う骨からのカルシウムとリンの放出の増加による血管障害の進展が生命予後に影響を及ぼしていると考えられている。しかし、実臨床において心不全発症例や心不全発症ハイリスク例など循環器症例において、骨粗鬆症の評価や治療が十分に行われているとは言い難い。今年度は、高齢者に多い慢性心不全の原因疾患の一つである大動脈弁狭窄症に対して、どの程度無症候性の椎体骨折の合併があるかについて検討を行った。結果、椎体骨折は40%以上の高率に合併しているにもかかわらずほとんど治療されていないこと、フレイルや予後と関連することを、日本循環器学会総会で口述発表を行った。現在英語論文作成中であり、2022年度内に投稿予定である。
3: やや遅れている
コロナ患者における対応のため、一時的に入院外来数が減少したため、対象症例の検査も減ったたこと。さらに、骨密度検査を含む多くの検査は、患者との接触が必要のため、件数が制限された。
大動脈弁狭窄症でCTを撮像している患者に対しては、引き続きデータを収集し、症例数を増やしたいと考えている。並行して、英語論文作成に取り掛かっており、2022年度内に投稿予定である。また、慢性心不全で右心カテーテルを行った患者を対象に、骨密度と骨関連バイオマーカーを計測している。今後データを蓄積していく予定である。
コロナで学会の参加を延期した。また論文英語チェック、および投稿費用、バイオマーカー、データ解析費用を延期しているため、論文作成と同時に使用予定である。
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
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