研究課題/領域番号 |
21K15675
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
笠原 浩生 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (80781898)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / タウ / オートファジー / ATG9A / 変性神経突起 |
研究実績の概要 |
アルツハイマー病(AD)のタウ病理形成におけるATG9Aの関与について解明することを目的として研究を行った。 神経変性疾患の各種病理マーカーにおけるATG9Aの局在を検討するため、免疫組織学的検討を行った。神経変性疾患で生じる各種病理マーカーとしては、ADで生じる神経原線維変化や進行性核上性麻痺で生じるtufted astrocyteなど、リン酸化タウ蛋白陽性構造物を中心に検索を行ったが、変性神経突起(DNs)にのみATG9Aが局在していた。さらにDNsにおいては、確認した範囲ではATG9A以外のオートファジー関連蛋白は局在しないことを確認した。 タウ遺伝子を導入した培養細胞モデルを用いて、siRNAによってATG9Aの発現を抑制した状態でのタウ蛋白発現を調査し、タウ発現の変化をウエスタンブロッティングによって検討した。ATG9AのsiRNAを導入した培養細胞のRIPA可溶性画分は、対照のsiRNAを導入した培養細胞に比べてタウ蛋白の発現が低下していた。さらに複数回の検討を行って再現性を確認し、検出されたバンドを半定量的に評価し、統計学的にも有意な結果が得られた。 一方でRIPA不溶性画分についても同様の検討を行ったが、RIPA可溶性画分とは逆に、ATG9AのsiRNAを導入した培養細胞は、対照のsiRNAを導入した培養細胞に比べてタウ蛋白の発現が上昇している傾向があった。 以上の結果から、オートファジーの異常でタウ蛋白の発現に変化が生じる可能性があり、タウ病理形成においてATG9Aが関与していることが示唆されると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
タウ遺伝子を導入して培養細胞モデルを用いて、siRNAによるATG9Aノックダウンによるタウ発現の変化をウエスタンブロッティングによって検討している。ATG9AのsiRNAの導入の有無によって培養細胞のタウ蛋白発現が異なることを確認し、それを統計学的にも検討できているため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、タウ遺伝子を導入した培養細胞モデルにおいて、ATG9AのsiRNAの導入の有無によって、RIPA不溶性画分のタウ蛋白発現に違いがあるかを検討していく。複数回の検討を行い、結果が有意なものであるか統計学的な検討を行う。 培養細胞モデルでオートファジー関連蛋白とタウ蛋白の関係性を示すことを目標とする。
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