研究実績の概要 |
今年度は、若手研究「視線解析を用いた認知症の診断方法の開発」(19K17046)の内容とも重複するが、これまでに蓄積したアルツハイマー病患者と健常高齢者の視線解析のデータを比較し、アルツハイマー病における眼球運動や視線の挙動の特徴を見出した。すなわち、アルツハイマー病患者は、画像を見る際に重要な場所への注目をあまりせず、物を探索する課題をさせると目標物に辿り着くまで多くの視線の動きが必要となる。さらに瞳孔径を比較すると、健常者では視覚探索課題の実施中に瞳孔径が拡大するが、アルツハイマー病の患者ではその拡大が目立たない。これらの特徴を用いると健常者とアルツハイマー病の患者を鑑別することが可能であるということを示し、論文を執筆して投稿した結果、今年度内に採択され公表された(Tokushige SI, Matsumoto H, Matsuda SI, Inomata-Terada S, Kotsuki N, Hamada M, Tsuji S, Ugawa Y, Terao Y. Early detection of cognitive decline in Alzheimer's disease using eye tracking. Front Aging Neurosci. 2023;15:1123456)。 これにより、認知症の診断に視線解析が役立つことを示せた点は有意義であった。
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