研究課題/領域番号 |
21K15691
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小玉 聡 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60876788)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | TMS-EEG / TMS / てんかん |
研究実績の概要 |
てんかんの臨床において通常の脳波検査や神経画像検査は感度・特異度が十分に高いとは 言えず、検査の偽陰性・偽陽性が誤審を招き患者の不利益となりうることから、より正確な 臨床判断に資する新しいバイオマーカーが求められている。本研究では、てんかんの病態生理の基盤となっている大脳神経細胞の興奮性・被刺激性について、客観的に評価する指標と してTMS-EEGに着目し、健常者およびてんかん 患者におけるTMS-EEGによる誘導脳波の振幅・潜時や周波数律動を評価し、てんかんのバ イオマーカーとしての有用性について検討し、適切な刺激・測定手法についても網羅的に探索することを目的としている。これにより、てんかんの診断・治療方針決定における有力な臨床指標として、 TMS-EEGを応用する未来を目指している。 TMS-EEGにおける刺激パターンや回数・強度といった刺激方法や、アーチファクト除去や フィルタリングなどのポストプロセシングの方法は先行研究ごとに異なり、研究者の間でもコ ンセンサスが得られたものは存在しないため、これまでに健常被験者に対して、 様々な磁気刺激手法(単発刺激、SICI、ICF、LICI)によるTMS-EEGの測定を行い、安定した誘発脳波を得られる刺激条件・測定条件を設定した。特に、刺激強度、刺激感覚について、いくつかの条件を設定し、もっとも適切なものを探索した。これまでの暫定的な成果を国内の学会において発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は健常被験者におけるTMS-EEGの測定を行い、適切な刺激条件を探索する計画であった。ある程度の測定は可能であったが、コロナ禍により健常被験者のリクルートが十分に進まない部分があった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は健常者およびてんかん患者における測定を継続し、TMS-EEGの有用性について検討する計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により健常被験者の測定数が十分でなく、謝金の支払い額が想定よりも少なかったために、次年度使用額が発生した。翌年度以降は引き続き健常被験者での測定を行うため、繰越金は謝金の支払いに主に充てられる予定である。
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