研究実績の概要 |
本研究では、てんかんの病態生理の基盤となっている大脳神経細胞の興奮性・被刺激性について、客観的に評価する指標と してTMS-EEGに着目し、健常者およびてんかん患者におけるTMS-EEGによる誘導脳波の振幅・潜時や周波数律動を評価し、てんかんのバイオマーカーとしての有用性について検討し、適切な刺激・測定手法についても網羅的に探索することを目的としている。 TMS-EEGの刺激・測定手法として、以下の手法を確立した: 同時記録として行う脳波は,TMSによる刺激アーチファクトによる脳波増幅器の飽和を避けることが可能な増幅器TruScanRE(Deymed Diagnostic, Co. Ltd.)を介して測定し、1)TMSの前後1 sにてエポッキング 2)刺激前 -2 ms 刺激後 10 msはTMSアーチファクトの混入があるため脳波信号を除去し、除去した部位を三次関数曲線により補完 3)目視にて明らかな筋電図、体動もしくは眼球運動によるアーチファクト混入が確認できるトライアルを除外 4)Bandpass filterとNotch filterを適応 5)downsampling 6)re-reference 7)独立成分分析によりアーチファクトと考えられる独立成分を除外 8)関心領域としてあらかじめ設定した誘導の波形を加算平均したものをTEP(TMS evoked potentials)とする。以上により概ね安定してTMS-EEGとしての記録が可能となった。
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