研究課題
慢性炎症性脱髄性多発神経炎(CIDP)は抗原は未解明で根治療法はない。一部CIDPでランビエ絞輪に局在するneurofascin 155 (NF155)などのノド蛋白に対するIgG4クラスの自己抗体が報告され、特異な病像を呈することから自己免疫性ノドパチーという新しい疾患概念が誕生した。NF155抗体陽性CIDPは、感覚性失調、髄液蛋白著明高値、顕著な神経根腫大、免疫グロブリン静注療法抵抗性等の共通した特徴を示すが、類似の特徴を有するものの、抗体陰性例も存在する。本研究では抗原未同定のCIDP104例の血清を、私たちの確立した坐骨神経と後根神経節標本を用いた組織免疫染色で、ランビエ後輪部を特徴的に染色するケースをスクリーニングし、6例の陽性例を見出した。これら症例の血清IgGは、ランビエ傍後輪部と後根神経節のsatellite gliaを特異的に染色した。坐骨神経と後根神経の粗抽出蛋白のウェスタンブロットで60kDの陽性バンドが得られた。これらの特徴から、leucine-rich repeat LGI family, member 4 (LGI4)が候補抗原として考えられた。市販の抗LGI4抗体は、坐骨神経と後根神経節を患者血清と同じパターンで染色した。LGI4を恒常的に発現するラットシュワン細胞とヒトメラノーマ細胞でsmall interference RNAでLGI4の発現を低下させると、患者血清の染色性が著減したことから、LGI4が新規ノド抗原と考えられた。HEK293細胞にLGI4とその受容体であるADMA22の発現ベクターをco-transfectしたstable transformantを樹立し抗原として用いることで、抗体測定のgold standardとなるcell-based assay (CBA)法を確立できた。
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Neurology Neuroimmunology and Neuroinflammation
巻: 10(2) ページ: 1-13
10.1212/NXI.0000000000200081