研究実績の概要 |
進行性核上性麻痺(PSP)は、病状進展とともに脳内異常タウたんぱくが蓄積し、運動・認知機能障害を呈する不治の神経難病である。易発年齢が高齢のため、近年の人口高齢化に伴い罹患者数が増えており、根本治療薬の開発は喫緊の課題である。申請者が所属する量研機構では、PSPのタウ病変を生体内で可視化するタウPETリガンド[18F]PM-PBB3を開発した。この技術を用いたPSP鑑別診断法は確立されつつあるが、縦断的な症状進行評価や予後予測に対する指標は確立されていない。本研究では、予定通り縦断PET撮影を終了後、①PSPにおけるタウたんぱく病変の縦断的な分布の変化と神経障害、症状との関連を検討し、PSPタウスコア(Endo H et al., Mov Disord 2022.)の変化量と症状の重症度の変化量が相関することを確認した。さらに最終年度には②治療法開発の基盤となるモニタリング評価基盤の確立のため、画像解析のプラットフォームを整備した。またPET画像の縦断解析における基準領域選定の検証を行い、萎縮に伴う影響を考慮する必要性があることがわかった。本研究によりイメージングによるPSP縦断評価基盤が作成され、今後治療法開発が一層促進されることが期待される。
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