国内唯一の思春期コホートである東京ティーンコホート(TTC)より、1000検体を超えるサンプルをジャポニカアレイNEOによるSNP解析を行い、更に東北大学メディカル・メガバンクで全ゲノムインプテーションを行った。PRS予測モデルの構築については、PLINK及びPRSiseの2種類の解析ツールを用い、PRSの算出にも既に成功している。2年目以降のDNAメチル化解析については、pnTTC第1期から第3期まで縦断検体として存在するものを対象とし、最終的に各150検体の合計450検体に対してゲノム網羅的DNAメチル化解析を行うこととし、対象となる検体の唾液サンプルよりDNA抽出を実行し、第1期から第3期までの450検体の唾液DNAについて精製終了し、Infinium Methylation EPIC Kitを用いたメチル化解析を熊本大学大学院分子脳科学教室との共同研究により進めた。DNAメチル化解析対象領域として、1)精神疾患感受性CpG部位、および2)epigenetic ageなどのバイオマーカー候補CpG部位の解析を行うっており、精神疾患感受性CpG部位として、申請者らがこれまで同定してきた精神疾患で頑健な変動を認めたCpG部位(約10ヶ所)、および国外の網羅的メチル化解析で同定されたCpG部位のうち、論文内で独立した手法によるvalidationが行われているか、他グループによる再現報告があるCpG部位(約20ヶ所)を対象とした。現在までの解析で、我々が以前に統合失調症および双極性障害患者で有意なメチル化変化を見出した、セロトニントランスポーター遺伝子プロモーター領域のCpG部位2箇所が、TTCの縦断研究より明らかになったexternalizing群において有意なメチル化率の低下を示すことを明らかにし、現在投稿論文の準備中である。
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