研究課題/領域番号 |
21K15713
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
竹之下 慎太郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (60839281)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | てんかん / 認知症 / 軽度認知障害 / 抗てんかん薬 / 知的障害 |
研究実績の概要 |
①てんかんおよび認知症の合併率が一般人口より高いと推測されている、施設で生活している知的障害者の人口において、てんかんが加齢と認知機能障害の経過に及ぼす影響を明らかにし、認知症疾患に対する新たな治療介入の可能性を探るため、てんかん合併の頻度・危険因子・治療の現状について調査する研究を行っている。全国各地の大規模な知的障害者福祉施設を対象とした横断調査「知的障害者を取り巻く認知症の実態調査(UMIN000038262)」を実施している。本年度は、調査において収集したデータの解析を行った。
②アルツハイマー病の遺伝負因を持つため、アルツハイマー型型認知症の有病率が一般人口より若年から顕著に高いダウン症を持つ人口において、アルツハイマー型型認知症とてんかんの関係について調査する研究を行う。全国的なダウン症のネットワークを用いて、ダウン症を持つ人の家族にアンケート調査と面接調査を実施して行っている横断調査「ダウン症における急激退行(原因不明の生活機能低下)の実態調査」においてデータを収集し、ダウン症におけるてんかん合併の頻度・危険因子・治療の現状について調査を行う。本年度は研究の計画と調査の準備を行った。
③岡山大学病院を外来受診した軽度認知障害患者を対象に、軽度認知障害におけるてんかん合併率の調査を行う。本研究は、患者の年齢・性別・診断名・認知機能障害の発症時期・認知機能・てんかん合併の有無・内服薬・頭部画像所見を収集し、てんかんと診断されていない軽度認知障害患者に、長時間ビデオ脳波モニタリング検査(long-term video EEG monitoring :VEEG)を行い、てんかん合併と脳波異常の有無についてスクリーニング検査を行い、前向き調査を行う。本年度は症例の組み入れを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の一部として、認知症例における適切なてんかん治療薬選択や対応方法について検討するため、認知症疾患医療センターにおいて、各認知症疾患における、てんかん合併の頻度・危険因子・治療の現状について情報の収集を行う計画であった。具体的には、「岡山県下の認知症疾患医療センターにおける1年間の新患患者を対象とした後ろ向きカルテ調査」と、「岡山県下の認知症治療病棟や精神科病棟に入院している認知症患者を対象とした横断調査」を実施する予定であったが、SARS-COV2流行のため計画期間内の調査実施が困難となった。上記(研究実績の概要)で示す内容に、研究内容を一部変更している。その他上記①~③の研究部分については問題なく進行している。①「施設で生活している知的障害者におけるてんかんの実態について調査する研究」は調査が完了しデータを解析中、②「ダウン症におけるてんかんの実態について調査する研究」は対象者の組み入れが完了し調査の実施準備中、③「てんかんが認知機能障害の経過に及ぼす影響を明らかにする研究」は対象者の組み入れ中、である。
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今後の研究の推進方策 |
①「施設で生活している知的障害者におけるてんかんの実態について調査する研究」は、データの解析が完了後、論文を作成し成果報告を行う。
②「ダウン症におけるてんかんの実態について調査する研究」は、ダウン症を持つ人の家族に対してアンケート調査および面接調査を実施予定である。
③「てんかんが認知機能障害の経過に及ぼす影響を明らかにする研究」については、岡山大学病院を外来受診した軽度認知障害患者を対象として、令和4年度以降も対象症例の組み入れを継続し、データの収集を進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
「岡山県下の認知症疾患医療センターにおける1年間の新患患者を対象とした後ろ向きカルテ調査」と、「岡山県下の認知症治療病棟や精神科病棟に入院している認知症患者を対象とした横断調査」を, 「施設で生活している知的障害者におけるてんかんの実態について調査する研究」と「ダウン症におけるてんかんの実態について調査する研究」に変更したことにより、調査の進捗が遅延した。そのため、人件費(研究補助職の雇用)も次年度以降に繰り越して使用する必要が生じた。部分的に内容の変更があったが、研究は継続しているため、本年度使用しなかった研究費用については次年度以降に使用する見込みである。
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