研究課題/領域番号 |
21K15715
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
長岡 敦子 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (20844632)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 死後脳 / プロリン / 1-プロリン-5-カルボン酸 / オルニチン / グルタミン酸 / アミノ酸 |
研究実績の概要 |
研究に用いる死後脳試料は、異なる二施設に保管されたものであるため、施設による相違という定量化できない様々な交絡因子の積み重ねで生じるタンパク質発現量に対する影響について評価を行った。まず二施設で保管された死後脳について人口統計学的因子について比較し、次にハウスキーピング分子の1つとして認識されているglyceraldehyde-3-phosphate dehydrogenase (GAPDH)と、脳内に広く発現しているglial fibrillary acidic protein(GFAP)の前頭前野(PFC)、上側頭回(STG)における発現量をELISA法を用いて測定し、二施設間で有意差の見られた交絡因子を加味して統計的に比較し、有意な差は見られないことを確認した。プロリン代謝経路内で、プロリンがグルタミン酸に代謝される最終段階に関わる酵素であるAldehyde Dehydrogenase 4 Family Member A1 (ALDH4A1)が統合失調症死後脳で著明な増加がみられており、プロリン代謝経路の統合失調症病態への関与が注目されるが、プロリン代謝経路内の酵素で統合失調症との関連が注目される分子であるProline oxidase(PRODH)やProlidase(PEPD)について、同サンプルを用いてPFC、STGにおける発現量をELISA法を用いて測定、比較し、STGにおけるPRODH発現量が統合失調症群において有意に低く、PFCにおけるPRODH、PFCとSTGにおけるPEPDに有意な変化はないことがわかった。今後プロリン代謝経路で代謝される4つのアミノ酸(およびイミノ酸)すなわちプロリン、1-プロリン-5-カルボン酸(P5C)、オルニチン、グルタミン酸について、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS/MS)法を用いて解析を行うことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
質量分析器の使用のための機器の調整には県外から関連会社の担当者が訪問し対応していたが、コロナ禍の影響を受け県境を跨ぐ往来の制限があり、その影響を受け、質量分析器によるアミノ酸測定系の構築については当初の予定よりやや遅れが出ている。
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今後の研究の推進方策 |
死後脳におけるアミノ酸測定について、解析可能な準備が整い次第、測定を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
使用予定であった質量分析器の調整が予定より遅れたため、購入予定であった試薬等のための物品費が残ったため。調整ができ次第、予定通り購入を行う予定である。
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