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2023 年度 実施状況報告書

トランスオミクス解析による統合失調症の心血管系突然死の病態解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K15716
研究機関横浜市立大学

研究代表者

服部 早紀  横浜市立大学, 附属病院, 助教 (30880124)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
キーワード統合失調症 / 抗精神病薬 / 自律神経活動 / 脂質代謝
研究実績の概要

健常者を対象とした研究でオミクス的研究手法を用い、脂質代謝産物と自律神経活動の関連が指摘されたが、精神疾患患者を対象としたものは前例がない。そこで本研究では統合失調症患者を対象に脂質のメタボローム解析、リン酸化プロテオミクス解析、ゲノムワイドメチル化関連解析を行い、それらを統合解析し、健常者と比較した脂質代謝制御異常を明らかにすることを目的としている。さらに、代表的な抗精神病薬投与下の条件で脂質代謝制御の変化を探り、脂質代謝におけるトランスオミクスネットワーク異常が心血管性突然死に及ぼす影響を明らかにし、統合失調症患者の生命予後不良の背景にある病態を解明したいと研究を開始し、プレリミナリー研究として位置づけている。
未治療もしくは治療中断1ヶ月以上の統合失調症患者に研究に参加してもらうため、関連病院との連携強化に努めた。また、当院で統合失調症患者を対象に検体収集を開始し、キットを用いたDNA抽出、検体の保管、精神症状の評価、心拍変動パワースペクトル解析を用いた自律神経活動測定、臨床症状の評価、薬物履歴の調査を行った。
経過の中で、抗精神病薬持効性注射剤使用者が、経口剤使用者より心血管死亡が少ないと報告があり、剤型の病態との関連も疑われ、その詳細を解明するべく、前年度に引き続き調査を続け、アリピプラゾール持効性注射剤単剤使用者とパリペリドン持効性注射剤単剤使用者で薬剤の影響を比較検討し、その結果を学会でポスター発表を行った。
さらに、研究をすすめる中で、自律神経活動障害が、抗精神病薬による性機能低下といった副作用に関連している可能性が考えられたが、そのメカニズムは明らかになっていないため、ゼブラフィッシュを用いて、抗精神病薬ごとの影響を比較検討する実験を行った。現在実験と解析をすすめている。
そして、学会参加を行い、研究成果の発表、情報収集、知識の習得に努めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

新型コロナウイルスの影響で入院および外来治療が大幅に縮小されたため、患者のリクルートが遅れた。また、自分自身が妊娠出産に伴い体調不良となり、かつ一時期、研究現場から離れたため、研究推進に遅れをきたした。

今後の研究の推進方策

本研究は、初めての、統合失調症において脂質代謝に着目したオミクス解析であり、プレリミナリーな研究と位置づけている。抗精神病薬を単剤ですでに治療中の患者については、該当者が多く検体収集が行いやすいため、集中してリクルートを行い、脂質代謝を網羅的に調査し、薬剤ごとで影響を比較する解析を行っていく。対象者が少ないが、治療中断もしくは未治療の患者に研究に参加してもらい解析を行うため、少数でも一例一例丁寧に該当患者のリクルートを行っていきたい。サンプル数が集まってから、エピジェネティック変化を調べるため、メチル化率を調査する解析を行っていく予定である。また、抗精神病薬の自律神経障害への影響を解明するため、現在行っているゼブラフィッシュを用いた抗精神病薬と副作用の関連性を調査する実験をさらにすすめていき、解析を行い、プレリミナリーな結果として論文化していく。この結果を、ヒトの実験、解析に応用していく。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウイルスの影響でサンプルの収集が遅れた。また、自分が妊娠出産に伴い体調不良となったこと、および一時期研究から離れたため、研究推進に遅れが生じた。サンプル数をまとめて解析した方が効率が良いため、当該年度では解析に関する費用が生じなかったが、次年度以降使用していく予定である。さらに、実験と解析、データ保存にまつわる備品、消耗品の購入が必要となり、次年度以降に使用予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] アリピプラゾール持効性注射とパリペリドン持効性注射剤の自律神経活動へ与える影響の比較2023

    • 著者名/発表者名
      服部早紀, 須田顕, 岸田郁子,, 宮内雅利, 白石洋子, 野口信彦, 藤林真美, 辻田那月, 石井千恵, 石井紀夫, 佐伯隆史, 福島瑞, 森谷敏夫, 菱本明豊
    • 学会等名
      第33回日本臨床精神神経薬理学会

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公開日: 2024-12-25  

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