研究実績の概要 |
2021年度は、まず当該分野の現状を整理するべく、先進的な総説的記事をFrontiers in Neuroscience誌に2本掲載した。てんかんの脳画像の臨床的評価と新規的な画像シークエンスや解析技術についてのNarrative Review (Sone D. Front Neurosci. 2021)および、機械学習アルゴリズムを用いた脳画像解析とてんかん臨床応用についてのSystematic Review (Sone D & Beheshti I. Front Neurosci. 2021)がそれにあたる。これらの業績により、てんかん脳画像分野の現状と課題が明らかになった。更に、既存のデータを解析することにより、側頭葉てんかんにおける術前脳画像から解析された海馬サブフィールドの容積が、術後切片から得られたサブフィールド断面積とよく相関し、Preliminaryながら、術後の認知機能障害の予測ができる可能性も示した(Mizutani M, Sone D, et al. Epilepsy Res. 2021)。海馬サブフィールド容積は側頭葉てんかんおよび精神疾患で異常を報告した文献が多いため、この手法の妥当性を神経病理切片を用いて検証したことで、更なるこの分野の進歩に貢献できると考えられる。更に、認知機能は精神症状とも関連することがよく知られており、このような認知機能と海馬サブフィールドの関連性を予備的ながら示したことで、てんかんにおける精神症状の神経基盤に更に迫れる可能性がある。また、実際の精神症状合併のてんかん画像についても一部は解析しており、既に投稿中である。
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