研究課題
2023年度は、前年度に引き続き、白質繊維に基づくてんかんの脳年齢研究と、てんかんの白質ダメージの経時的進行に関する研究を継続した。両者の結果について、2023年9月にダブリンで開催された国際学会(35th International Epilepsy Congress)にて発表した。白質ダメージの進行については、155名の片側側頭葉てんかん患者の拡散テンソル画像を教師なし機械学習を用いて解析し、経時的な疾患進行モデルが算出された。焦点側のuncinate fasciculus (UF)から白質繊維障害が始まり、その後、脳梁、anterior thalamic radiation (ATR)、superior longitudinal fasciculus (SLF)などに広がっていくことが示唆された。この結果を原著論文として、現在国際誌に投稿中である。白質脳年齢研究についても、現在投稿中である。この研究では、257名のてんかん群および429名の健常群の拡散テンソル画像から白質繊維に基づく脳年齢解析を行ったところ、視覚的病変の無い側頭葉てんかんや側頭葉外てんかんで4-5年、海馬硬化を伴う側頭葉てんかんで9.1年の脳年齢上昇が起こっており、概ね既報の脳形態画像に基づく解析結果(Sone D, et al. Mol Psychiatry. 2021)が再現されたが、特発性全般てんかん群では有意な上昇を認めない点が過去の解析結果と異なっていた。更に、心因性非てんかん性発作の白質ネットワークに関する総説論文を新たに出版した(Sone D. Neuropsychiatr Dis Treat. 2023)。
2: おおむね順調に進展している
国際誌に論文を継続的に発表しており、更なる原著論文も現在2編投稿中であり、今後も研究を進めていけると考えられるため。
データの解析と研究結果発表を継続しつつ、新規のデータ取得も更に進めていく。
一部は論文のオープンアクセス費への使用を考えていたが、結果的にまだ査読中であり、年度をまたぐこととなった。
すべて 2024 2023
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (1件)
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