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2021 年度 実施状況報告書

統合失調症におけるDNAメチル化関連遺伝子の発現量と多形について

研究課題

研究課題/領域番号 21K15733
研究機関徳島大学

研究代表者

富岡 有紀子  徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (70748029)

研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2023-03-31
キーワードDNAメチル化 / One-carbon metabolism / 葉酸 / ホモシステイン / ビタミンB6
研究実績の概要

本研究の目的は、統合失調症と健常者の血液試料を用いてDNMTやTETといったDNAメチル化関連遺伝子の発現量の解析を行うこととして申請を行った。本年度の研究成果は以下の通りである。
1. DNMT遺伝子のサブタイプ(1,3a,3b)ごとに、まず未治療統合失調症(N=15)、同サンプルでの治療後、健常群(N=16)の3群間での遺伝子発現量を検討した。その結果、1と3aについて未治療統合失調症群で有意に遺伝子発現量が上昇していることを示した。
2. 次に、慢性期統合失調症サンプル(N=93)を使用し、年齢・性別を調整した健常群(N=90)を用意した。これら2群におけるDNMT1,3aの遺伝子発現量を計測したところ、慢性期統合失調症群で発現量の有意な上昇が示された。
3. 上記2のサンプルを用いてDNMT1と3aの遺伝子発現量の相関を調べたところ、健常群でのみ有意な負の相関が観察された。これは、統合失調症に罹患するとDNAメチル化を統率する機構が崩れてしまう可能性を示唆していると考えられる。
4. 次に、one-carbon metabolism(OCM)との関連を調べるべく、得られている血漿ホモシステイン、血清葉酸、血清ビタミンB6のそれぞれの濃度とDNMT遺伝子の発現量の相関を検討した。その結果、葉酸とDNMT3aに関しては有意な相関が認められており、統合失調症におけるDNMT遺伝子発現量やOCMの関与の可能性を支持する結果が得られた。
これらの結果は、現在英語論文としてまとめているところであり、今年度中に雑誌に投稿予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子発現量を測定予定していたDNMT 3bの実験が血液試料ではうまくいかず、論文に反映しにくかったという問題はあったものの、1および3aについては順調に実験が進んだ。予定していた研究をこなせており、論文の作成中であるため順調と考えている。

今後の研究の推進方策

当初の予定にあったサンプル数はすでに実験が行えているが、サンプル数を増やす余地が残されているため、サンプル数の拡大を図る。
また、当研究でターゲットにしていた血液試料中の数値(血漿ホモシステイン、血清葉酸、血清ビタミンB6)以外にも、サンプルに付帯している血液検査値は(肝機能、腎機能等)複数あるため、それらの値とDNMT遺伝子発現量との関連を検討し、新たな観点からの統合失調症における変化を模索したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

(理由)本年度の研究に必要と考えていた物品費が試薬の見直しを行うことによって、予定よりかなり少額で賄えたため次年度使用額が生じた。
(使用計画)次年度はサンプル数拡大や論文化のための再実験を行う予定であり、試薬を追加で購入する必要があるため、次年度研究費(物品費)と合わせて使用する計画である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 統合失調症患者におけるDNMT1と3aの遺伝子発現量の検討2022

    • 著者名/発表者名
      富岡有紀子
    • 学会等名
      第16回日本統合失調症学会

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公開日: 2022-12-28  

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