研究課題/領域番号 |
21K15737
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
嶋田 貴充 金沢医科大学, 医学部, 助教 (70735349)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 統合失調症 / 社会機能障害 / 非罹患第1度近親者 / 遺伝的連続性 / 中間表現型 |
研究実績の概要 |
統合失調症は、生涯罹患率が約1.0%であり、遺伝率約80%の多因子遺伝を示し、臨床的・遺伝的に異種性を示す精神疾患である。また、統合失調症では社会機能に広範な障害を認めると言われている。社会機能障害は統合失調症の中核症状のひとつと考えられており、再発率・身体活動の低下・職業遂行能力の低下および医療費の増大などと関連すると言われている。なお、統合失調症では、異種性を軽減するために中間表現型(脳構造や認知機能など)の研究が盛んに行われているが、遺伝的連続性に焦点を当てた社会機能に関する研究は少ない。本研究では、統合失調症患者、非罹患第1度近親者および健常者の3群を対象に、Japanese version of Social Functioning Scale (SFS-J) を用いて社会機能を評価し、統合失調症における社会機能障害の遺伝的連続性の有無を評価する。本研究において疾患リスクの半数を保有し服薬や罹患期間などの交絡因子の影響を受けない非罹患第1度近親者に統合失調症患者と同様の社会機能障害の特徴を持つことを見い出すことができれば、統合失調症における社会機能障害は発症前から生じていると考えることができ、早期介入・早期治療につながることが期待される。現時点では、本研究に関連した予備的な統合失調症の社会機能の研究を行っており、統合失調症患者36例におけるSFS-Jで評価した社会機能とJapanese version of Brief Assessment of Cognition in Schizophrenia (BACS-J) で評価した認知機能との関連を検討した結果、特定のサブスケール間 (SFS-Jの引きこもり・対人関係・就労とBACS-Jの言語流暢性、SFS-Jの娯楽とBACS-Jの運動機能) に有意な相関が存在することが分かった(In submission)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研究被験者のサンプル収集が進んでおらず、研究そのものに遅延が生じている。しかしながら、本研究に関連した予備的な研究を行うことはできており、以下の成果を得ている。①統合失調症における社会機能と認知機能の関連を検討した研究において、特定のサブスケール間 (SFS-Jの引きこもり・対人関係・就労とBACS-Jの言語流暢性、SFS-Jの娯楽とBACS-Jの運動機能) に有意な相関が存在することが分かった(In submission)、②遅発性統合失調症症例において社会機能障害は認められなかったものの、脳脊髄液バイオマーカーにおいては軽微な総タウの増加とアミロイドβ1-42の減少が認められたため、遅発性統合失調症では神経病理学的基盤に認知症性の変化が存在している可能性があることを報告した(Shimada et al. Neurocase 2021)。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、通常業務が非効率化しており、研究時間の確保が難しい状況ではあるが、所属機関における研究環境の整備を進め、研究被験者のリクルートを行っていく。サンプル数を増やし、統合失調症における社会機能障害の遺伝的連続性を明らかにしていく。最終的に、研究成果を学会や英語論文にて発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、研究サンプル収集が遅延しており、被験者謝金の使用がなかったため、次年度使用額が生じた。2022年度は、所属機関における研究環境の整備を進め、研究サンプル数の確保に努めることにより被験者謝金の増加が見込まれるため、繰越金と合わせて使用する予定である。
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