研究課題/領域番号 |
21K15755
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研究機関 | 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛 |
研究代表者 |
高橋 知久 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 精神科学, 講師 (40828729)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 子ども虐待 / 周産期 / 精神的問題 / メンタルヘルスリテラシー / リスク因子 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は虐待する親の精神病理を明らかにすることであり、周産期の精神科診断・症候および周産期メンタルヘルスリテラシーに着目している。本年度は、前年度に引き続き、2013年から2020年までの間で、当院で出産した精神疾患のある、あるいは精神疾患の疑われる妊婦のリスク因子を抽出し、養子縁組、児童相談所の保護委託、職権保護(強制的な保護)、虐待の発生について調べた。カルテ調査であるが、数百例あり統計解析には至っていない。カルテ調査は本年6月には終了する予定である。 同時に、急性期未治療精神病妊婦の子ども虐待のリスクと急性期のマネージメント、自己決定について、そして虐待予防における多職種チームの連携の重要性について論文投稿を行った。「多職種チームによる未治療統合失調症患者の中絶・出産に関する自己決定の支援と法的限界」として日本総合病院精神医学会誌に掲載された。(総合病院精神医学(0915-5872)35巻2号 Page155-163(2023.04) また、第119回日本精神神経学会において、周産期メンタルヘルス~今後の発展すべき方向とは~と題したシンポジウムにおいて、シンポジストとして「子ども虐待に至る親の精神病理 周産期からのアセスメントとマネージメント」を発表した。内容は本研究の方向性と同様で虐待に至る親の精神病理について、メンタルヘルスリテラシーの観点から調査結果の一部について文献的考察を行ったものである。 2023年度の実績は以上である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年から2022年はコロナ禍により、特定妊婦の詳細な事例検討の回数が減少した。また市役所等との保健福祉担当者との調整も滞った。正確なデータベースの作成のために時間を要し、前向き研究が検討しきれていない実情がある。そのため後ろ向き研究や文献的考察、症例報告による検討を行っており、一定の成果は得られている。
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今後の研究の推進方策 |
まず2013年から2020年の、当院で出産した精神疾患のある、あるいは精神疾患の疑われる妊婦のリスク因子と、養子縁組、児童相談所の保護委託、職権保護(強制的な保護)、虐待の発生の関連について統計解析を行い、論文投稿を目指す。また、周産期メンタルヘルスリテラシーの評価尺度とスケールの実施方法について、関係各所と調整を行い、可能であれば本年度中の前向き研究の調査開始を目的とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍による研究の進捗の遅れにより、人件費・謝金等は発生しなかったため、次年度使用額が生じている。次年度においては研究の進捗により前向き研究の際に謝金等が発生する可能性がある。
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