研究実績の概要 |
脳転移放射線治療後の認知機能の予測指標を確立させるために以下の2つの軸で研究を進めている。 ①既存の全脳照射後の認知機能検査のデータを使用し解析:2022年度は照射後3年までのデータについて解析を実施。照射後1年経過した後も認知機能検査のスコア、特に記銘力検査のスコアが低下していくことが明らかとなった。認知機能検査のスコアに関連する因子として①全脳照射の線量(:標準線量群(30Gy/10fr-35Gy/14fr)vs.低線量群(25Gy/10fr))、②年齢と照射前白質変化(:白質変化有または67歳以上 vs. 白質変化無かつ67歳未満)が明らかとなった。特に記銘力検査においてはそれぞれが独立した因子である可能性も示唆された。(脳転移全脳照射後3年生存者の認知機能に関連する因子;中野、日本放射線腫瘍学会第35回学術大会)。 ②比較的新しい治療法の前向き観察研究にて認知機能に関わるデータの蓄積:多発脳転移に対するSingle-isocentervolumetric modulated arc therapyや脳転移術後の術後定位放射線照射について治療成績をまとめつつ、前向き観察研究の準備を進めた。 その他の本研究と関連性のある研究としての実績は以下の通り:③転移性脳腫瘍に対する定位放射線照射を併用した低線量全脳照射:多施設共同Ⅱ相臨床試験(JROSG13-1)の研究に関して筆頭著者として論文発表(Nakano T, et al: Reduced-dose WBRT combined with SRS for 1-4 brain metastases aiming at minimizing neurocognitive function deterioration without compromising brain tumor control. Clinical and Translational Radiation Oncology, 2022)④肺癌脳転移の予後予測指標の作成に関する国際共同研究:免疫療法登場後のアップデートの研究に関して症例を登録し共同著者として論文発表(Sperduto PW, et al: Int J Radiat Oncol Biol Phys, 2022)
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