研究実績の概要 |
今年度は4D-FB法を用いた高空間・高時間分解能iso-voxel 3DダイナミックMRI(DCE-MRI)の至適撮像プロトコールの決定を目標とした。まず膀胱より撮像範囲が小さく安定した画質を得やすい前立腺領域において4D-FBダイナミックMRIの撮像を行い、Footprint値や撮像方向、バンド幅が画質に影響を与えることを明らかにした。 さらに前立腺癌の評価において、従来法のe-THRIVE DCE-MRIと4D-FB DCE-MRIにおける診断能の違い、画質の違いを評価検討した。研究法は以下の通りである。 症例数(各群n=12)、年齢、初回PSA、highest Gleason scoreをマッチさせた群において、4D-FB法とe-THRIVE法による各DCE-MRIで定量項目Ktrans, Kep, Veを算出し、これらによる前立腺有意癌の検出能をareas by the receiver operating characteristic curve (AUC)で評価した。画質評価として各DCE-MRIで癌と非癌部における信号強度比(SNR)、放射線診断専門医による視覚評価を行い、Mann Whitney testで各項目の比較を行った。いずれも病理標本結果をリファレンススタンダードとした。結果、各DCE-MRIのAUCに有意差は得られなかった(P>0.05)。SNRはいずれの部位でも4D-FB法が有意に高く(癌部P<0.001, 非癌部P<0.001)、視覚評価においても4D-FB法が優れていた。本研究により4D-FB DCE-MRIが前立腺癌診断能を担保したまま、従来法よりも高い画質の取得に有用である可能性が示唆された。この結果は2021年度の国際MRI学会で報告した。
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