研究実績の概要 |
初期検討として以下内容の検討を行い、成果を第83回日本医学放射線学会総会で発表した。
【目的】膀胱の3DダイナミックT1WI(DCE-MRI)において、ゴールデンアングルラジアルスパースパラレル(GRASP)シーケンスと従来のカルテシアンシーケンス(Cartesian)の有用性を比較検討する。【症例と方法】2016年5月から2022年9月に膀胱癌ステージングのため3T装置でDCE-MRIを受けた42人を対象に、GRASPとCartesianの影響を後ろ向きに評価。患者数(n=21)と筋層浸潤膀胱癌(MIBC=7)は各グループで一致。画像品質、動きによるアーティファクトの有無、ストリークアーティファクトの有無、腫瘍の識別性を5点リッカート尺度で評価し、SNRとCNRも測定。評価は放射線診断専門医が行った。これらのデータはマン・ホイットニーU検定で比較。また、膀胱腫瘍は5点Vesical Imaging-Reporting and Data System(VIRADS)スコアで評価し、ROC分析とAUCでMIBCの診断性能を検証した。【結果】GRASPではCartesianと比べて、画像品質(中央値:5対4, P=0.0001)、動きのアーティファクトの有無(5対4, P<0.0001)、腫瘍の識別性(5対4, P=0.0001)、SNR(31.3対16.7, P=0.0001)が有意に良好であった。AUCもGRASPが0.91で、Cartesianの0.88より高かった。 【結論】GRASPは膀胱DCE-MRIの画像品質を向上させ、MIBCのVIRADSによる診断性能にも良好な影響を与える可能性がある。
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